CTR

昨日はお昼から黄斑前膜に対する硝子体手術と白内障手術の同時手術などが行われました。

黄斑前膜は昔は針で持ち上げたりしていましたが、染色するようになってからは、むしろピック(ILM鉗子)でつまむほうが簡単かつ安全ということが分かってきました。考えてみれば、感覚網膜は透明で、色素上皮が透けて見えている訳ですから、染色の威力はとても大きいです。白内障手術における前嚢染色とならんで、今や必須の手段ですね。

今日は白内障手術が18件行われました。うち一例で、ひさしぶりにCTR(カプセル テンション リング)を使いました。チン氏帯がユルユルで、CCCがやっとこさ出来た程の症例でした。

こんな場合、核処理の最中に皮質がからんできて、全摘出ということになりかねません。迷わずCTRを使いました。年に1〜2回、こんなことがあります。

CTRを挿入すると、水晶体の赤道部が固定されますので、なんとか皮質吸引まで行けることが多いです。しかし、本日の症例ではどうしても皮質が残ってしまいました。こんな時は、粘弾性物質を皮質と嚢の間に注入して、分離するのが有効です(Visco-delamination)。中央部の皮質さえ吸っておけばなんとか視力は出ます。

もちろん、皮質吸引のI/AはIOLを挿入した後に行います。通常とは順序が逆になります。

本例のようなチン氏帯脆弱例では、手術終了時にCCCを放射状に切開しておくと、前嚢収縮の予防になります。


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