マクロとミクロ

2/1の当ブログで院長がご紹介したマキュエイドという薬剤は、やや大きめの白いステロイドの粒子が、手術の顕微鏡で肉眼的によく見えることを利用したものでした。
これとは対照的な、肉眼では絶対に見えない大きさのナノ粒子のステロイドが研究されているとのことです。
ステロイド含有ナノ粒子を使って貪食細胞を選択的に抑制 ―網膜疾患に新しい薬剤投与法の可能性―」(2011年1月11日東北大学プレスリリース)
ナノ粒子は、その名の通りナノメートル(1mmの百万分の1)単位の大きさの粒子で、近年研究が盛んなナノテクノロジーの技術の結晶です。ナノの大きさの原子・分子レベルで起きる現象を自在に操作・制御することによって、これまでになかった機能や性質をもった物質が生まれるそうです。確かにこれを医学に応用しない手はありませんね。という訳で、抗ガン剤をはじめとして様々な応用が試みられているようですが、今回の発表は、ステロイドを効果的に網膜に作用させるためにナノ粒子を用いるという研究内容で、以前にもご紹介したドラッグ・デリバリー・システムにあたります。
ステロイドは効果が強く良い薬剤なのですが、副作用の多さに悩まされることも多く、また、そのために患者さんからの数々の誤解もあります。
ナノテクノロジーがこの問題を解決してくれる日が来るかもしれません。
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