フルトヴェングラーの廉価ボックス

昨日、今日と白内障手術が行われました。41例中数例で多焦点眼内レンズを使用いたしました。

多焦点IOLはいわば2焦点ということで、回折現象でピントの合う位置を2カ所に分散しているレンズです。遠方と近く30〜40cmとの2カ所にピントが合うようになります。

ただし、大きな問題が残ります。一つは必ずしもピントの位置が狙いどおりに行かない場合があること。二つ目は、一カ所にピントを集める普通の(単焦点)IOLにくらべ、グレア、ハロなどが強く、慣れが必要なことです。

ピントのずれは、「度数交換」「アドオンレンズ」「LASIKによるタッチアップ」などで改善が可能です。最初の手術でピントの位置が多少ずれることを100%避けることはできません。

当IOLを選択するにはそれなりの覚悟が要ることを、いくら強調してもし過ぎることはありません。

それでも多焦点IOLを使用する理由は、白内障の術後、「メガネなしで遠くも近くも見たい」という希望をかなえるレンズは、今のところこれ以外にないからです。

さて、話は大きく変わりますが、史上最高とも評されるドイツの指揮者、ウィルヘルム フルトヴェングラーの廉価ボックスが販売されています。

西洋音楽の愛好家にとって神のような存在だけに、昔から幾度となく音源が再発されてまいりました。英HMVがセッション録音したいくつかの音源は実はとても録音が良好なのですが、CDではなかなかその良さが味わえなかったところ、今回のリマスターにて、見違えるほどに音質が改善されています!これは感動ものです!

有名なベートーベンの「第九」バイロイト録音。私はオリジナルLPで、独、英、仏とすべて持っており、今回、改めて聴きくらべてみました。LP同士では英オリジナルALP盤が最も優れていますが、今回のCDでは、ALPと比べて音の柔らかさは劣るものの、明瞭度は勝っており、新たなる発見があちこちにありました。

ベートーベンのみならず、ブラームスの改善ぶりもすごいです。鬼気迫る熱演が、ずいずいと迫ってまいります。ためしに4番の交響曲ハイドン変奏曲をお聴きあれ。後者など、オリジナルLPを含め、過去のどのバージョンよりも優れていると思います。

フルトヴェングラーの演奏は一度聴いたら忘れられません。まだお聴きになっていない方がおられるならば、ぜひ、このボックスを購入されて、じっくりと鑑賞されることをお勧めいたします。


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