DMEの治療

DMEとは糖尿病性黄斑浮腫(Diabetic Macular Edema)の略で、糖尿病網膜症(DR)に生じる黄斑部網膜の浮腫(腫れ)のことです。硝子体出血や網膜剥離などと並んで、DRにおける視力低下の原因のひとつです。

DMEの治療には三つの選択肢があります。古典的なレーザー凝固、抗VEGF薬、そして硝子体手術です。それぞれ従来よりもバージョンアップしており、未だに現役です。

レーザーは黄斑部の浮腫にグリッド状にあてる方法が行なわれておりましたが、最近は、「閾値下凝固」といって、網膜表層をなるべく傷つけず、浮腫だけを取り除く方法が工夫されており、ひとつのブームになっています。

抗VEGF薬はもちろん、世界標準の治療法で、まず選択するべき方法です。ただし、薬剤費が高価であり、連続して投与すると思いの他治療費がかかってしまうのが欠点です。

硝子体手術は薬剤が利きにくい黄斑前膜合併例に対して、最近よく行なわれています。黄斑前膜およびILMを取り除くことにより、牽引が解除されるのみならず、硝子体腔へのバリアーが取り除かれ、血漿蛋白が交通することによる脱水も期待できます。

普通の白内障手術においても、糖尿病と黄斑前膜は術後炎症性黄斑浮腫の危険因子ですので、あらかじめ判っておれば、白内障手術の際に黄斑前膜を除去する「phacovitrectomy」でアプローチすることも多くなりました。

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