最近の多焦点IOL

久しぶりに多焦点IOLの話題です。昨年4月以来選定療養に組み込まれた多焦点IOLは、コロナ禍により水を差された感がありますが、それでも着実に浸透してきています。今では「先進医療から外れた」とは、多くの患者さんが先におっしゃいます。

 

ただし、いつも言っていることですが、多焦点IOLは誰にでも適応するわけではありません。1)年齢、2)他の眼疾患の有無、3)夜の運転の有無、4)仕事の内容、5)性格などを総合的に判断して、適応になるかどうかを慎重に判断するのです。

 

価格のことを全く考慮せずとも、半数以下しか適応にならないのが普通です。価格を考慮すればなおさらのことで、実際は当院でも1〜3割程度の使用率になっています。

 

最近は3焦点のパンオプティクスが人気ですが、お手頃価格の2焦点テクニスマルチ、EDOFでコントラスト感度良好のシンフォニーも一定の需要があります。新たに出てきた、2焦点+EDOFのシナジーも期待できます。

 

ところで、多焦点IOLの術後は、屈折異常の有無が結果を大きく左右します。乱視、近視、遠視のすべてが裸眼視力に影響するからです。術後の屈折は術前に決めたレンズの度数により決まりますが、この度数はあくまでも推定値ですので予想が外れることもあり、この「ずれ」をゼロにすることはできません。ということは一定の確率で比較的大きなずれが生じることになり、屈折異常への対応を常に考えておかなくてはならないのです。

 

その対策がタッチアップ レーシックです。多焦点IOLの術後の軽い屈折異常を治す手段として、レーシックが最も優れています。レーシックがあるからこそ、安心して多焦点IOLを使用できるとも言えます。

 

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