多焦点IOLの色々

選定療養になって多焦点IOLを希望される患者さんが増えています。自己負担金はあるものの、保険診療に組み込まれたことによる安心感があるからでしょうか。

 

選定療養で使うことができる多焦点IOLの種類も増えてきました。当院で扱っているのは、1)2焦点のテクニスマルチ(ZKB、ZLB、ZMBの3種類、それぞれ加入度数が2、3、4D)、2)焦点深度拡張(Extended Depth of Focus)のシンフォニー(Sym)、3)3焦点のパンオプティックス(POX)、に加え、この4月から4)2焦点+EDOFのシナジーが使えます。

 

いずれも単焦点に比べて焦点が広くなっていますが、その特性は様々です。加入度数で言うと、一番少ないのが Symで1.5Dくらい。最も大きいのがテクニスマルチのZMBで4Dくらいとされています。

 

理論上、加入度数が大きいほど中間距離(0.5〜1m)のボケがひどいのですが、細かい字は見やすくなります。低加入のシンフォニーを遠見に合わすと近くは60cmくらいまでしかピントが合いません。細かい字は老眼鏡が必要になります。

 

POXは近く40cm、60cm、遠くと3箇所にピントが合います。読書、PC、運転のいずれも可能です。ただ、近く40cmというのはやや遠い読書距離ですので、もともと近視で近くがよく見えるのに慣れておられる方は要注意です。

 

ハロ、グレアは加入度数が大きいほど大きくなりますので、Sym<ZKB<ZLB=POX<ZMBとなるはずです。ただ、Symでは光輪がはっきりしますので、余計に気になるとおっしゃる方もおられるのが難しいところです。

 

では、シナジーはどうかというと、まだ臨床導入が始まったばかりで厳密な比較試験はできていません。中間の見え方が改善されたテクニスマルチとは伺っていますが・・・。

 

実際には患者さんの屈折、性別、職業、趣味、性格などから総合的に判断して決めています。とは言え、未だ最終的に単焦点IOLになることの方がずっと多いのです。

 

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