アイステント インジェクト

今年の年賀状では「MIGSをやってます」という先生が数名おられました。わざわざ賀状に書かれる方がおられるということはそれだけ全国的に注目されており、広く行われるようになってきたということではないでしょうか。

 

MIGSとはMinimally Invasive Glaucoma Surgeryの略であり、緑内障の患者さんが白内障手術を受けられる際にちょこっと操作を追加することで術後の眼圧を下げ、緑内障の治療も兼ねて行う方法です。

 

「ちょこっとした操作」には色々あり、谷戸フック、カフークデュアルブレード、アイステントなどが含まれます。このうち当院でよく行っているのはアイステントです。

 

アイステントでは前2者とは違って、隅角組織(メッシュワーク)を切開することはありません。組織を切開すると当然創傷治癒作用が働き、切開部分もいつしか結合組織に置き換わります。その際また流出抵抗が増えれば、手術の効果は薄れていきます。

 

アイステントは金属製の濾過装置であり、一度設置されると効果はほぼ続くと考えられます。緑内障のような生涯にわたる慢性疾患の治療では、効果の持続性が大切であり、アイステントの優位性もここにあります。

 

昨年後半よりアイステントはアイステント インジェクトにバージョンアップしました。金属の濾過装置を2個、少し離して設置します。打ち込みは独特の器具で行います。

 

手術には慣れが必要で、実際の症例に行う前に何度も練習します。実際に患者さんに行う場合も5例までは業者の立会いがあります。実習と実例を経て、サーティフイケイトが発行されると、いつでも実施できるようになります。

 

インジェクトのコツは打ち込む位置にあります。これがメッシュワークから外れると、うまく刺さりません。しかし、撃つ際には先が見えない構造になっているので、場所を決めてから打ち込むまでに位置がずれないような配慮が必要です。器具を強く押し付けすぎるとずれやすいので注意です。

 

コツがつかめれば、ほんの短時間で確実に設置できるようになります。

 

アイステント(インジェクト)は術直後の出血が少なく、翌日に視力を落とすことがほとんどありません。多少の眼圧スパイクはあるものの、術後1ヶ月には有意な眼圧降下を認め、数年以上持続いたします(文献データ)。緑内障点眼薬を中止あるいは減らすことが可能です。

 

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