緑内障の治療はレーザーで開始

緑内障は眼圧が上がる病気と勘違いしていらっしゃる方が多いです。眼圧が20mmHgを超えたなら高眼圧症とは言われますが、緑内障かどうかはわかりません。

 

緑内障とは慢性に経過する視神経〜網膜の変性により、特徴的な視野異常を来す病気です。眼圧が高いこともありますが、患者さんの半分以上は正常眼圧です。

 

診断は視野とOCTで正確に行えます。昔はとにかく視神経を正確に観察することが重要とされていましたが、今なら、OCTで誰でも診断できます。

 

緑内障を放置しておくと、徐々に視神経萎縮が進行して、視野が狭くなり、視力低下(失明)に至ることもあります。失明の原因として最も多いのが緑内障です。

 

緑内障の治療は眼圧を下げることです。眼圧を下げると、視神経の栄養補給が改善され、視野の進行を防ぐことができます。一旦悪くなった視神経の変性は元には戻りませんので、緑内障と診断されたら何らかの治療を開始した方が良いでしょう。

 

治療法には1)レーザー(SLT)、2)点眼薬、3)手術があります。

 

最近発表された論文によると、初期治療としてSLTと点眼に治療効果の差が無いことがわかりました。したがって、より副作用の少ないレーザーが脚光をあびることになりました。レーザー(SLT)は一度の治療で1〜3年間効果が持続します。ただし、人によって治療効果が異なり、海外の報告で75%の人がレーザーのみでコントロールが可能でした。

 

そこで、緑内障と診断されたなら、まずレーザーを試み、定期的(3ヶ月に1度)に眼圧、視野、OCTをチェックし、進行がなければそのままとし、進行が疑われたなら初めて点眼薬を開始する、ファーストトラックレーザー治療がお勧めです。

 

それでも進行する場合は手術へと進みます。中期以降の緑内障に対する手術は、トラベクレクトミー(濾過手術)が基本です。

 

緑内障の加療中に白内障手術を受ける機会があれば、その際は出来るだけ術後の眼圧を下げるべく、iStent(アイステント)やロトミーの併用が望ましいです。今はやりのMIGS(最小侵襲緑内障手術)です。

 

当院は白内障手術のためにご紹介を受け来院される患者さんが多いのですが、術前に必ず視神経のOCT検査を行い、緑内障が疑われるか、すでに加療されている場合、積極的にMIGSをお勧めしています。

 

ST