エクスプレスを用いたレクトミー

今日は白内障手術、硝子体手術の他に、緑内障手術が2件ありました。新生血管緑内障(糖尿病や静脈閉塞に引き続き生じる続発緑内障)に対するエクスプレスを用いたトラベクレクトミー、およびアイステントです。

 

何度も書いてますように、トラベクレクトミー(濾過手術)は緑内障手術のthe last resortです。術前の眼圧に関わりなく、術後の眼圧を15mmHg以下に下げることができます。その代り、術後の管理が複雑で、合併症や副作用もある程度覚悟しなければなりません。

 

合併症の一つに出血があります。周辺虹彩切除を行う際に、虹彩組織から出血することがあるのです。眼の中ですので止血が難しいこともあります。新生血管緑内障の場合虹彩に新生血管が生えていますので、特に注意が必要です。

 

エクスプレスを用いると、虹彩切開を省略することができます。よって虹彩組織からの出血を予防できます。新生血管緑内障ではエクスプレスを用いるのが良いと思っています。

 

しかし、房水の漏出効果はエクスプレスよりも虹彩切除(+線維柱帯切除)の方がずっと大きいですので、POGのレクトミーでは当院においてエクスプレスを使うことはなくなりました。

 

エクスプレスはもともと強膜弁を用いずに使う目的で開発されたと聞いています。そのため、房水の流れがごくわずかとなっているのです。経過のうちに流れが止まってしまい、元の木阿弥になることもしばしばです。

 

強膜弁の下で使う目的にはもっと豪快に流れる方が良いのではと考えています。今後、そのようなデバイスも出てくると思います。

 

アイステントについては後日書きます。

 

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