SLT-first

今月号のOphthalmologyにも、SLTに関する論文が載っています。緑内障の初期、あるいは高眼圧症の症例で、治療を開始する際、1)SLTレーザー群、と2)点眼薬群にわけて経過観察し、何年にも渡って治療効果を比較したものです。

 

同じ著者らによる論文はすでに2報出ており、いずれも、両群に有意差を認めないというものでした。

 

しかし今回は、いよいよ本丸とも言うべき「視野の進行」で比較しており、なんと、1)SLT群のほうが進行例が少ないとの有意差が出ています。

 

その理由としてまず挙げられているのが、点眼薬の場合、実際はちゃんとさせていない確率が高いということです。1ヶ月や2ヶ月では問題ないとしても、数年にもわたって毎日1〜2度の点眼を続けるのは並大抵のことではないからです。

 

次に、薬理的効果の変動が考えられます。1日のうち、例えば午前中だけを見ると(診療に来られる時間帯)眼圧が正常であっても、それ以外の時間帯でどうかは保証の限りではありません。一方、レーザーや手術ならば、その降圧作用は比較的一定と考えられます。

 

今回の対象患者は、臨床研究に参加する際詳しく説明されることにより、点眼に対する意識は一般よりも高いと思われますので、実際はもっと差が出る可能性があるとも論文中では指摘されています。

 

坪井眼科では昨年より、緑内障に対して、SLT-firstの治療法を実践しています。また、SLTのみならず、MPCPC(毛様体光凝固)、MIGS(低侵襲緑内障手術=アイステントなど)、および濾過手術(レクトミー)も積極的に取り入れることにより、点眼薬に頼らない緑内障治療を目指しています。

 

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