IOLの交換手術

IOLが日本に導入されて30年以上が経過しています。今や、白内障手術(水晶体摘出術)=眼内レンズ挿入ということになっています。最初期に手術を受けられた方は、IOLという異物が眼内で長期に保管されていることになりますが、眼組織や全身に及ぼす副作用はほとんど見られません。

 

しかし、長期間を経過するうちに、IOLが脱臼して硝子体腔に落ちてしまうことがあります。この場合、脱臼IOLを取り出して、新たに別のIOLを挿入しますが、今度は水晶体がありませんので、最初とは違った固定方法になります。

 

IOLの足の部分を白目の組織(強膜)に差し込み、歯科におけるインプラントのような方法で固定します。IOLの強膜内固定です。以前行われていた縫い付け固定に代わり、標準術式になリつつあります。

 

IOLが濁ることも時々あります。濁りにより視力低下を認める場合、IOL交換手術が必要です。水晶体がしっかりしており、嚢内からIOLだけを取り出すことが出来れば、新たなIOLを元の位置に挿入することも可能ですが、よほど条件が良い場合に限られます。IOLを袋ごと摘出しなければならなくなった場合、新たなIOLは強膜内固定になります。

 

ということで、ここ数年、IOL強膜内固定が必要な症例が増加傾向にあります。

 

強膜内固定にもいろんなバリエーションがありますが、世界的にヒットしているのが、横浜の山根先生が開発されたYAMANE法です。

 

IOLの足(ループ)を細い30G針で誘導して外に出し、ループの先を熱してコブを作り、眼内へ戻らないようにします。結膜を温存しますので綺麗ですし、固定が良いので例えば網膜剥離になった時などの、手術操作にも耐えられます。安心です。

 

従来の方法に比べ、より確実、より簡単、かつ、より美しい方法で、一度その良さが理解できれば、他の方法には戻れません。

 

YAMANE法をマスターすることにより、増加傾向にあるIOL交換手術の敷居が随分と低くなります。

 

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