IOL強膜内固定

今日もお昼から白内障手術でした。今週は今までに多焦点IOLを15眼行い、明日も副院長が3眼予定していますので、合計18眼となり1週間の数として過去最高です。多分、年間通しても昨年よりも大きく増えていると思われます(昨年は年間で142眼)。その代わり、普通の白内障手術は減っています。

他の手術では、硝子体手術が増えています。中でも、眼内レンズの強膜内固定術は、昨年のデータでは17件となっていますが、10月だけで5件くらい行なっていますので、年間では倍増以上の増加でしょう。

これは、水晶体や眼内レンズがはずれてしまって脱臼している際に用いる方法で、レンズの足を強膜(白目)に通して固定します。歯科でのインプラントのようなものです。他施設では縫合固定が未だに一般的ですが、当院では数年前から強膜内固定一本になっています。いろんな点で、後者が優れているからです。

特に固定位置の差が大きいです。縫合では毛様体溝に通糸するため、輪部(黒目と白目の間)から1-1.5mmで固定されますが、これだと普通の固定位置よりもやや前になります。予測よりも近視化し、虹彩接触する危険性が増します。

一方、強膜内固定では、ループ(足)の位置を更に奥に置いても問題ありません。輪部から2mmで固定すると、通常の嚢内固定とほぼ同じ位置になります。

強膜内固定はいろんな方法があり、術者により異なっています。最近流行しているのがYamane法で、30G針2本でループを誘導して外に出します。硝子体を触らず行えますので、白内障術者に向いた方法です。結膜を切らずに行えるのもメリットです。しかし、トンネルの長さ、角度が目分量になりますので、レンズの偏心、傾斜に注意が必要です。

小生が行なっているのはクラシカルな太田法で、ループの位置を確認できる良さがあります。トンネルの長さも充分に取れます。

当院ではさらに変更を加え、硝子体手術のセッティングでシャンデリア照明を用いて、ループを硝子体腔で掴みにゆく方法です。前房での受け渡しではないので、角膜内皮への影響が少なく、時間も節約できると思われます。

硝子体手術が得意な術者に向いた方法です。

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