網膜剥離の日帰り手術

年間20件くらい、月に1〜2件の割合で網膜剥離の手術をしています。もちろん、他の手術に比べ数は少ないですが、日帰り施設で剥離の手術をしているのは珍しいことです。

 

小生が大学病院に勤務していたころ、年間50件くらいの網膜剥離手術を行っており、それが自分の担当する手術のほぼすべてでした。大学全体で100件ほどの網膜剥離手術でした。もっともこの頃は全例バックリングで入院手術でしたが。白内障手術などすべての手術を合わせても1000件未満でした。

 

剥離といえば術後の痛み、安静、姿勢の保持など問題となりますので、必ずしも日帰りで出来るとは限りません。いろんな角度から吟味して、日帰りでOKまたはその方が望ましいと判断される場合に手術を行います。

 

中年以降の世代で、硝子体剥離に伴う馬蹄形裂孔は、硝子体手術の良い適応です。加えて裂孔が上半周にあれば、術後の体位もさほどの制限が必要ありませんし、ガスが入っている間は安静も必要ないですので、日帰り手術に向いています。

 

裂孔が下にあったり多発の場合は、ガスの充填具合によっては再剥離の率が高くなります。ガスやバックル手術の追加が必要な場合も出てきます。

 

初回手術では余程の事情がない限りシリコンオイルは使いません。シリコンは再手術が必要ですし、タンポナーデ効果はガスに劣るからです。

 

30代までの円孔による扁平剥離は、バックル手術の適応です。術後一晩、きっちり仰臥位(背中を下にして)で寝ていただくと、翌日には治っています(手術が適切に行われた場合)。以後の安静はそれほど必要ありません。よって、日帰りでも対応可能です。

 

患者さんのご理解とご協力が得られたならば、ほとんどの網膜剥離は日帰り手術が可能となります。

 

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