シリコンオイルタンポナーデ

昨日は網膜剥離にたいする硝子体手術を始め、いろいろな症例があり、5時半までかかってしまいました。網膜剥離は裂孔の形、大きさ、位置、数などで重症度が異なり、手術方法も異なってきます。基本は裂孔周囲を凝固し、網膜と脈絡膜を癒着させることで、バックルやガスを用います。

ガスは術後1週間くらいでほぼ吸収されてしまい、タンポナーデ効果が失われます。それまでに裂孔が完全に閉鎖されればよいのですが、癒着が完成するのには2週間くらいかかるとされています。

昔はその間ガスを追加したり、安静に寝ていただいたりと医師も患者も苦労したものです。しかし、今の日帰り手術では安静の代わりに、シリコンオイルタンポナーデを行うことが多いです。

シリコンオイルはガスのようになくなることはありませんので、凝固が完成するまで入れておき、網膜剥離が完全に治ったあとで取り出します。二度手間にはなりますが、PVR(増殖性硝子体網膜症)の原因となる再剥離を避けることができますので、結局は患者さんにとっても楽になると思います。

シリコンオイルを使うのはもちろん、深部、巨大、多発(裂孔)といった、重症例に限ります。

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