ガスタンポナーデ

今年もあとわずかとなり、予定手術は来週で終わりです。最後の追い込みで、このところ忙しい日々が続いています。

このところ、網膜剥離の緊急手術などが重なり、手術の予定時間をオーバーすることもしばしばです。特に、硝子体手術ではなく、バックリング手術は時間がかかります。裂孔が複数個存在すればなおさらです。

先週に経験した剥離手術でも、裂孔が複数あり、そのすべてをバックルに乗せるには少し時間がかかりました。また、バックリング手術ではいくら排液をしても、手術終了時に少しは下液が残っていますので、術後の安静が大切です。

全ての裂孔が塞がっておれば、通常、一晩で網膜は復位いたします。術翌日に剥離が治っているのを確認できれば、ほっと一安心ということになりますが、翌日に下液が残っていると、閉鎖不全が疑われますので、早急に次の手を打たなければなりません。

ということで、またまた予定外手術が増えることになってしまうのです。

次の手として、「ガスタンポナーデ」があります。閉鎖不全の部分を中からガスの力で押し付ける方法です。硝子体の一部をかじって眼圧を下げ、SF6を注入いたします。

これでもなおらなければ、再手術、シリコンタンポナーデということになり、やっかいです。

剥離が残ったままで1〜2週間経過しただけでも、増殖変化が進行して、難治となります。網膜剥離の治療ではスピード感が大切です。

再手術を繰り返すと増殖はさらに進みますので、少なくとも2度目の手術ではシリコンを使うのが無難です。

ただし、シリコンはあとで抜く必要があるのが欠点です。

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