年に一度あるかないかですが、時に、破嚢とともに核の一部が硝子体中に落下することがあります。そうなりますと、眼内レンズが奇麗に入ったとしても、やりなおしの手術（硝子体手術）により、取り残した核を除去しなければなりません。
硝子体中の通常の混濁とは異なり、硬い水晶体核は硝子体手術のカッターでは歯が立ちません。そこで登場するのが、白内障手術にも用いる超音波乳化吸引チップです。
当院で使用している超音波手術装置は「横振り」による破砕ですので、硝子体中の核片を引きつけて、そのまま砕き、吸引する操作が簡単に出来ます。
昔の縦振動のみのフラグマトームでは、左手で核を支えながら超音波を掛けなければならなかったのに比べ、ずいぶん簡単になりました。
水晶体の支えが無くとも、強膜内固定によりIOLの奇麗な挿入が可能ですし、核の硝子体中落下でも今や心配は要りません。
引き出しが増えたことにより、昔よりもはるかに安全な白内障手術が可能になっています。
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