多焦点レンズが増加

今日はお昼から白内障手術が18眼で、そのうち多焦点IOLが7眼と過去最高でした。

多焦点レンズでは一部の症例で(今日は3例)乱視矯正を加えたりいたしますので、普通よりも少し時間がかかりますが、それでもそこそこの時間で終了いたします。

今日くらいの数になってくると、「フェムトでなくて良かった」と正直思います。フェムトだと日が暮れても終わらなかったことでしょう。

フェムトとはフェムトセカンドレーザーのことで、白内障手術の前嚢や角膜の切開を行うレーザー装置です。7年前に開発され、「正確なCCCにより、術後の屈折誤差、視力回復が有利になる」との触れ込みで、売り込みがなされました。フェムトを用いた白内障手術をフラックス(FLACS, Femtosecond laser assisted cataract surgery)と呼びます。米国では全症例の1割近くがフラックスと言われています。

当院でも導入するべく対策を立てていたのですが、肝心の臨床結果がそれほどでもないことが判ってきて、熱も冷めてしまいました。フラックスとマニュアル手術を比較した学術論文で、フラックスの優位性を証明することができていないのです。それどころか、「破嚢率」や「適応率」でマニュアルに劣っています。自分の手でなんともないのに器械のせいで破嚢するのはまっぴらです。

時間はマニュアル手術の2倍以上かかりますし、導入するには場所とお金がかかります。もちろん日本の医療保険では使えません。

ならばなぜ使うか???ということですが、今後さらに器械が進歩すれば、手の操作よりも良い結果が出てくる可能性はあるからです。

実際、レーシック手術では、フラップを手で作ることは到底できませんし、機械式のケラトームよりもフェムトレーザーの方が安全かつ正確ですので、フェムトが広く普及しています。当院でももちろん使っています。しかし、白内障手術においては・・・

柳の下に2匹目のドジョウは居なかったようです。

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