ECCE

先日、数年ぶりにECCE+IOLの手術を行いました。

ECCEとはExtracapsular Cataract Extractionの略で、水晶体の核をそのままの状態で眼外に摘出する方法です。昔、超音波手術が導入される前は、ごく一般的な方法でした。

と言っても、日本では、眼内レンズと超音波手術がほぼ同時期に出てきて、ECCEののちIOLを挿入するという術式はごく短期間行われたのみですので、「よく知らない」という眼科医も多いことでしょう。超音波手術装置が進歩したおかげで、頻度1%以下のよほどの硬い核でない限り超音波摘出が可能だからです。

核をそのまま摘出するには傷の長さが1cmくらい必要です。普段の超音波手術の4倍の大きさです。

前嚢切開は普通と同じCCCですが、普段よりは大きく、直径8mmくらいに作ります。水の流れで核を分離したあと、粘弾性物質を入れて匙のようなものですくい出します。

IOLを挿入後は、無縫合で終えることも可能ですが、巨大な乱視が出るのを防ぐため、数本の糸で縫合します。

時間は普通の2〜3倍はかかります。それだけ操作も多く、難しいですが、この方法に慣れておくと、他の色々な眼科手術が簡単にこなせるようになるのです。

現代の若手の眼科医はECCEをする機会が少ないのが教育的にはちょっと残念です。

ST