ECCE

ECCEとはextracapsular cataract extractionの略で、PEA(現在の標準術式、超音波白内障手術)が1990年ごろに出てくるまで、白内障手術(眼内レンズ挿入)の方法でした。

 

PEAが3mm以下の大きさの傷からの手術であるのに対して、水晶体の中味をひとかたまりで取り出しますので、傷は1cmくらいとかなり大きくなります。術後の乱視も問題ですが、手術中に大きく眼圧が下がる時間が長いのがとても危険で、綱渡りになります。

 

この間(1分〜数分)に脈絡膜出血を起こすと、失明の危険があり、体動やいきみが激しいと硝子体脱出を起こします。

 

最近はほとんど行わなくて済んでいますが、ごく稀にとても硬い水晶体の患者さんがおられ、ECCEの必要性に迫られることがあります。

 

今日はそんなECCEを1年ぶりくらいに行いました。とても久しぶりでしたので、術前に慎重にシミュレーションを行い臨みました。

 

とにかく、眼圧がゼロになる時間をなるべく少なくしたいので、水晶体核の前房への脱臼は創を広げる前に行います。また、万一の場合に備え、自己閉鎖創にします。大きな傷ですから、自己閉鎖させるのは難しいですが可能です。

 

もちろん前嚢切開はCCCで、IOLもきっちりと嚢内に納めますので、仕上がりはPEAと大差ありません。

 

硬い核を無理して超音波をかけると、角膜が相当痛みますので、その点はECCEが有利です。

 

発展途上国で超音波の機械がないところでは、未だにECCEが主流です。ECCEでもきっちりとすればPEAと大差ない結果が得られことはすでに報告されています。

 

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