難易度の高い白内障手術

前にも副院長が書かれていましたが、白内障手術と一口に言っても難易度は様々です。難易度を上げる要素としては、1)目をじっと出来ない、2)眼裂が狭い、3)目が落ち窪んでいる、4)散瞳不良、5)排尿障害改善薬服用中、6)核が硬い、7)真っ白な濁り、8)チン氏帯断裂などがあります。

 

これらは後嚢破損などの手術合併症の原因になりますので、前もって注意が必要です。ただ、それぞれ対策法はありますので、手術が不可能ということではありません。

 

6)については、超音波手術装置の能率がアップすることにより、かなり改善されています。装置の選択が鍵となります。どうしても砕けない場合はECCE(計画的嚢外法)ということになりますが、現在の超音波手術装置に替えて以来、ほとんどなくなりました。しかし、現有機種の使用期限が迫っており、また買い替えが必要になりそうです。

 

7)については、前嚢染色と適切な粘弾性物質によりクリアできます。

 

8)について、断裂が半分以下ならばなんとか核処理を行って、CTR(Capsule Tension Ring)を挿入した上でIOLの挿入が可能ですが、術後、再度IOL脱臼を来す可能性を考えなければなりません。CTRの脱臼は摘出が困難で縫い付ける必要が出てきます。

 

グラグラの(亞脱臼した)水晶体は超音波摘出した上PPVで嚢を切除し、IOLを強膜内固定すれば、より安全と言えるでしょう。

 

幸い、YAMANE法によればIOL挿入にもそれほど時間を取りません。水晶体振盪を認めたならば、最初からIOL強膜内固定を行うことにすれば、難しい手術に神経をすり減らすこともなくなります。

 

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