トラベクレクトミー

先週は1週間に緑内障の濾過手術(トラベクレクトミー)を3件行ないました。これは当院としても多い方です。

濾過手術とは眼内の房水を眼外の結膜下へ導き、眼圧を下げる手術です。1960年くらいから行なわれている、とても古典的な方法です。途中、トラベクロトミーなど、眼内の抵抗組織を切除する方法が主流になった時期もありましたが、眼圧を10mmHg前後まで下げることが出来る方法は他にありませんので、しぶとく残っています。

また、続発や併発の緑内障、あるいは閉塞隅角でも眼圧を下げることが可能で、いわば万能の方法といえます。

濾過胞(ブレブ)が長続きするよう、抗がん剤を術中に塗布する方法が普及して、リバイバルすることになりました。

ところが、この方法を確実に成功させるのはなかなか大変です。

濾過が多すぎると、結膜下に貯留することなく外に出て来て、眼圧が下がりすぎます。このままにしますと、感染の危険があり、また、「低眼圧黄斑症」になって視力が低下します。

逆に少なすぎると、眼圧を下げる効果が無くなり、元の木阿弥となります。

ちょうど良い具合にコントロールするのは、手術中ではなく、術後の縫合糸切断や追加ということになり、手間ひまをかけなくてはなりません。

手術では濾過を最小にとどめ、術後適当な時期にレーザー切断によりちょうど良いブレブを作るのがコツになります。

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