緑内障の手術

当ニュースで何度か書いておりますが、昨年からMIGSを取り入れています。MIGSとはMinimally Invasive Glaucoma Surgeryの頭文字を取ったもので、「最小侵襲緑内障手術」ということになります。つまりは、白内障手術の際に行う緑内障の同時手術で、白内障で出来る角膜切開創を利用した緑内障手術=ゴニオトラベクロトミーということです。

ただ、再確認しておきたいのは、緑内障の治療は眼圧を下げることとはいえ、点眼薬にせよ手術にせよ、一度の治療で完結することではないということです。その点、例えば高血圧症とは異なります。血圧は一定の正常値になれば治療が完結ですが、緑内障における眼圧はそうではありません。正常眼圧とされる20mmHg以下だからと言って、緑内障が治った訳ではありません。

緑内障が治った」と言えるのは、視神経萎縮が進行しない程度にまで眼圧が下がった場合です。その値は人によって異なります。視野変化を伴う緑内障患者さんでは、いわゆるローティーン、すなわち14mmHg以下ならばまず安心との共通認識はあります。

きっちりと測った眼圧を14mmHg以下にコントロールするのは容易ではありません。点眼薬のみではなかなか難しい場合が多く、手術が必要になってくるのです。

また、点眼薬を複数、長期間使用することによる副作用も見過ごせません。全身への作用以外に、眼の充血、眼周囲の色素沈着、眼球陥凹、角膜障害による視力低下など、点眼薬を自己判断で中止してしまう原因になります。

結局、「なるべく少ない点眼薬で14mmHg以下の眼圧を目指す」ことが必要になってきますので、安全な手術が出来る機会を逃すべきではなく、MIGSが注目されているのです。

MIGSは流出路改善手術です。トラベクロトミーと言われてきた手術と同等です。ただ、方法により効果は大きく異なります。侵襲が大きいほど効果も大きい傾向があります。

手術の前段階として、流出路改善を目指したレーザー治療があります。SLTです。これがホップとしますと、ステップはトラベクロトミー、すなわち、MIGSです。そして、ジャンプが濾過手術ということになります。

白内障網膜剥離、黄斑前膜のように、一度の手術で完治させるのが理想です。しかし、緑内障ばかりは、未だその段階には至っておりません。お薬と手術をうまく組み合わせて、末長く治療を継続する必要があります。

将来は、自由な値に眼圧をコントロールできるデバイスが開発されることでしょう。

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