強膜固定vs縫合固定

涼しくなったと思ったらまた暑くなったりと、気温の変化がはげしい季節です。とはいえ、8月に比べると随分過ごしやすくなりました。

今週も月曜日からたくさんの手術を行なっています。月曜日は眼内レンズの強膜内固定術を行ないました。昨年の5月くらいから従来の縫合固定法に替わって行なっている術式で、水晶体の嚢が失われた場合の眼内レンズ挿入に用います。

数えてみると、今週で丁度30例に達したとのことでした。縫合法とどちらが良いかは難しい判断になりますが、術後の安定は糸の残らない強膜内固定の方が上と思われます。

糸がほどけて再落下したり、糸からの感染が憂慮されるからです。

IOLを硝子体腔内に落とし込む操作を伴いますので、糸が着いているほうが安心と思われる術者も多いことでしょう。完全に脱臼したIOLをパーフロロカーボンを用いて浮かせた経験がないと、ちょっと怖いかもしれません。

縫合固定ではIOLの足が毛様溝に接していますが、強膜内固定では毛様溝をかすめて通り過ぎるだけです。IOLの位置も毛様溝付近に限る必要はなく、たとえば扁平部まで後退させることも可能です。しかし、IOLが後ろに行けば行くほど、より大きなパワーを必要としますので、普通は輪部から1.5mmの毛様溝付近がよいでしょう。

IOLの位置を一定にすれば、パワー誤差も少なくなり、嚢内固定に劣らない機能が発揮されます。

ただ、前過ぎるとIOLに虹彩がひっかかるcaptureになりますので、難しいところです。

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