IOL入れ替え

今日は白内障手術の最後にIOLの入れ替え手術を行いました。しかも、最初の手術から10年以上経過し、すでにYAG切開が行われている高齢者のIOLの入れ替えです。

水晶体の袋の中に挿入された眼内レンズは、時間の経過とともに袋(嚢)にしっかりと固定されてゆきます。したがって、時間の経過とともに取り出すのが困難になってきます。

通常、初回手術から数ヶ月がタイムリミットとされており、それ以降になると、IOL単独の摘出は困難になり、袋ごとの摘出になることもあるとされています。嚢も一緒に取り出してしまうと、新しいIOLの挿入、固定がやっかいなことになり、縫い付ける必要が出てきます。

とはいえ、IOLを慎重に嚢から分離し、嚢をそのままに摘出することも可能です。今回の症例は、自分としても最も古い(初回手術から時間が経過した)IOL摘出となりましたが、幸い、なんとか嚢をそのままにIOLのみを摘出することができました。

コツは粘弾性物質で十分に嚢を膨らませることです。前嚢とIOLの間に27G針の先端をすべりこませ、粘弾性物質を入れます。ある程度嚢が膨れたところで、IOLを回転させ、嚢がチン氏帯からはずれないように注意しつつ、IOLを分離します。前房中に移動させて切断し、小切開創から摘出いたします。

普通の白内障手術の何倍も時間がかかります。


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