完全嚢内固定

今日は午後から、白内障手術を17件行ないました。そのうち、3件に多焦点眼内レンズを挿入しました。

多焦点でも単焦点でも手術そのものは同じです。レンズの種類が違うだけ。

とはいえ、多焦点レンズでは、術後の屈折誤差ならびにレンズの偏心が問題となるだけに、より慎重な対応が求められます。IOLをきれいに嚢内に固定する必要があります。

たとえば、破嚢したり、CCCに亀裂が入ってもIOLの挿入は可能ですが、多焦点レンズではこれらはなるべく避けたいですし、レンティスのような形のレンズは挿入困難になってしまうこともあり得ます。

そこで、単か多かにかかわらず、全症例、「完全嚢内固定」を達成するべく、慎重に手術を行なっているところです。

光学径よりも少し小さいCCCを視軸に作り、亀裂や破嚢を避けつつ水晶体摘出し、レンズを嚢内に挿入します。仕上がりは、レンズの光学部の全周が、ドーナツ状に前嚢で覆われるようになります。

口で言うのは簡単ですが、瞳の大きさや核の硬さがまちまちで、場合によっては角膜も混濁しているといった条件で、全例同じような仕上がりの手術を行なうのは容易ではありません。

幸いなことに、本日は、全例「完全嚢内固定」を達成することができました。

これが出来ている間は、フェムト白内障(フェムトレーザーによる前嚢切開)は必要ありませんね。

ST