ASCRS2010

年に一度開催される、アメリ白内障屈折手術学会(ASCRS)には、10年前くらいまで毎年のように参加しておりましたが、最近はとんとご無沙汰しています。夜昼逆転するところに1週間でとんぼ返りという旅がきつくなってきたのが理由です。

今年の春にボストンで行われたASCRSの内容の一部を報告してくれている冊子を某メーカーにいただきましたので、早速読んでみました。

日本と同様、アメリカでもLASIKの症例数減少が著しいようです。2009年には前年比37%減とのこと。これにはもちろん、経済状態の悪化が影響しています。しかし多分、2010年にはすこし持ち直していると思います。

多焦点IOLや調節性IOLによる「屈折矯正」白内障手術は増加しています。ただし、60歳以下の透明水晶体摘出には反省もあるようです。これは、当院における経験とも一致しております。安易な適応拡大は慎むべきと思います。

最もポピュラーなのはリストア、ついで調節性のクリスタレンズ(日本未導入)、リズームが使われています。テクニスマルチは認可が遅かったせいか、まだ少ないようです。

白内障手術におけるフェムトセカンドレーザーの使用が注目されています。LASIKのフラップを作るように、大きさや位置をコントロールできるCCC、レーザーによる核分割が可能となります。LASIKの場合と同じく、レーザーの欠点もいろいろ想像されます。時間がかかること、装置が大掛かりなこと、患者さんの負担(肉体的および金銭的)が増えることなどです。

RLE(Refractive Lens Extraction、透明水晶体摘出)にふさわしい眼内レンズの登場が待たれるところです。調節性IOLに期待がかかりますが、今のところ、具体的な形は見えておりません。


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