片眼の白内障の手術

白内障は両眼同時進行ということは少なく、どちらかの目がより悪くなっているものです。手術が怖い患者さんはよく「手術は悪い方の目だけにしてください」とおっしゃいます。しかし、ほとんどの場合、両眼の手術を引き続き(1週間くらいの間隔で)行うほうが良いのです。

 

というのも、以前このブログで書きましたように、白内障手術は「屈折矯正手術」でもあるからです。

 

もともと高度の近視や遠視の場合、手術眼を正視〜軽度近視の適切な屈折に持っていこうとすると、術後大きな左右差が出ます。こうなると、メガネはかけられず、コンタクトも高齢でお勧めできず、とんでもないことになるのです。

 

もともと遠くがよく見える「目が良い」と思っておられる患者さんは、白内障の時期になると遠視になっていることが多いです。また、隅角が狭くなっていることも多いです。こうなると、屈折の観点からも、急性緑内障発作予防のためにも、両眼の手術がお勧めです。

 

白内障になるということは、それ以前から水晶体の屈折力の低下、収差の増大が始まっています。「何度もメガネを代えないと見えない」「乱視が強くなってきた」など、初期の白内障の症状です。

 

ただ、40代前半以下の若年世代ではその限りではありません。水晶体は調節力が残っているあいだは、IOLよりもはるかに優れたレンズです。取ってしまうのはもったいないです。

 

若年、片眼、近視の白内障では、健眼をLASIKで正視にした上で患眼の白内障手術を行い、多焦点IOLを使用するか、単焦点で軽度近視にすることで、術後の視機能がとても良くなります(裸眼で生活できるようになります)。

 

ST