wave LASBK あるいは sLASIK 

SBKはフランス・モリア社のマイクロケラトームにより、厚さ約100ミクロンのフラップを作る方法のことです。日本人における角膜の厚さは平均520ミクロンくらいですから、フラップ下の厚さ(ベッド厚)は420ミクロンくらいとなり、従来のケラトーム(フラップ厚150ミクロンとしてベッド厚370ミクロン)より格段に余裕が出てきます。

たとえば、エキシマレーザー照射により100ミクロン削らなければならないとすると、残存ベッド厚は320VS270ミクロンとなり、SBKの良さがわかります。

残存ベッド厚が大きければ大きいほど、術後の屈折の安定度が増し、医原性の不正乱視(ひどい場合は円錐角膜)の危険性が小さくなります。

もうひとつ見逃せないのは、ボウマン膜直下の角膜実質は中央部付近よりも線維が密であり、硬さも硬いことです。お肉でもお豆腐でも、硬いほうが切り口が滑らかになるように、SBKでの切除面は通常のケラトームよりも滑らかになります。

この滑らかさが、多分、照射の精度に関係してくると思われます。

当院の症例で、従来の90ミクロンヘッドとSBKの臨床経過を比較いたしますと、収差や近視の戻り(リグレッション)で後者が有利な印象がありました。正式には、いずれ、学会等で報告する予定です。

SBKによるフラップは、厚さに関してフェムトセカンドレーザーによるフラップと同等であり、臨床経過もほとんど差がないことが海外でも報告されています。術直後の視力の立ち上がりはSBKの方がむしろ上のようです。

当院ではVISX Star S4 IRによるwavefront-guided (custom) 照射とSBKを標準の術式にしていますので、ご安心ください。wavefront-guided laser-assisted in situ sub-bowman keratomileusis、略してwave LASBKということになります。

あるいは、イントラレース+wavefront-guided LASIKのiLASIK風に言えば、sLASIKとでもすべきでしょうか。

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