SBK

今週末にとあるところで行う講演の準備をしております。演題は「Thin-flap LASIK」というもので、薄いフラップのLASIKということですが、当院で行っておりますSBK(Sub-bowman Keratomileusis)についてしゃべれということだと理解しています。

フラップの厚みは初期のマイクロケラトームでは180ミクロンくらいありましたが、製品の改良によりだんだんと薄く切れるようになっています。いわゆるフラップは角膜実質部分で切断いたしますが、角膜上皮の厚みが60ミクロンありますので、いくら薄くてもそれ以下にはなり得ません。安定した薄いフラップとは、厚みが100ミクロンくらいということになります。

フランス、モリア社のSBKでは100~120ミクロン程度のフラップが安定して作れます。これは同じ会社の従来機種よりも有意に薄いフラップです。

フラップが薄いと何が有利かといいますと、まず、残余角膜厚が厚くなるということです。これにより、術後の医原性乱視が予防されます。

つぎに、屈折精度が増すのでは、という期待です。角膜実質の強度を支えるコラーゲン線維の密度は角膜前方(ボウマン膜直下)で最も密であり、後ろへ行けば行くほど粗になっているそうです。これは山口大学の森重直行先生らの業績です(JRCSおよびIOVS)。

ということは、薄いフラップによるLASIKの方が、より硬い実質を削ることになります。

たとえば、彫刻で何かの像を作る場合、石鹸かあるいは木か、どちらが精密に削れるでしょうか。表面の精度は明らかに後者、硬い素材のほうが上がります。同じことがLASIKでも言えるのでは、ということです。

今回検討したデータでは、精度については明らかと言える程の差は出ませんでしたが、SBKの安全性や有用性は確認することができました。当院の福永が「臨床眼科」に報告しています。


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