ドラッグデリバリーシステム

ドラッグデリバリーシステム(DDS)とは、必要なときに必要なだけの薬剤を病巣に送る技術で、近年盛んに研究開発されています。
昔ながらの注射や内服方法に比べて、病巣に直接薬剤が届くので作用が少なくて済み、しかも薬の効果もアップするというすばらしい技術です。
眼科の分野でもDDSが近年応用されつつあり、海外ではすでにブドウ膜炎や黄斑浮腫の徐放剤(目に埋め込むと、長期にわたってゆっくり薬剤が放出される)が実用化されています。
近年、日本で黄斑変性症の治療として行われているPDT(光線力学療法)も、薬剤を注射すると黄斑変性症の部位のみに薬剤が集積し、レーザーを当てると薬剤集積部のみに効果を発揮するという、DDSを利用した治療の1つです。
最近の眼科の雑誌にも、DDSの興味深い話が載っていました。
ドライアイの治療法の1つに涙点プラグ(涙の通り道である涙点をふさぐフタのようなもの)があります。この涙点プラグから緑内障の薬剤を徐放できるようにするという報告でした。(Ocular Surgery News 21(4) 2010)
まだ実用化にはいくつか関門があると思いますが、アイデアとしてはすばらしいです。
DDSによる新しい治療法の登場が楽しみです。
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