ICCEよりPEAがベター

今日も白内障手術が行われました。

本日の症例18例中、真っ白(茶)に濁った白内障が3例ありました(マチュア)。こうなると手術もちょっと難しくなり、時間も多くかかります。

チン氏帯断裂とマチュアが合併することも多いです。こうなってくると、ICCE(傷を大きく開けて丸ごと取り出す方法)のほうが易しくなります。

しかし、ICCEは傷を大きくあけて眼圧がゼロになる時間が長いので、その間に万一脈絡膜出血(駆逐性出血)が生じると打つ手がありません。最悪の場合、失明にもつながります。

したがって、多少難しくはなっても、ICCEよりもPEAに挑戦するほうが安全と言えます。核を処理した後、嚢は硝子体カッターで切除します。

チン氏帯が断裂しているので、眼内レンズをそのまま挿入することはできません。縫い付けによる挿入が必要となります。

多少の断裂でも、CTR(Capsule Tension Ring)を入れて、眼内レンズもそのまま挿入する場合もあります。しかし、若い患者さんでは、生活レベルが高く、目の動きもはげしいことが予想されますので、断裂が大きく、無理をしてIOLを挿入すれば、後日落下する危険が高くなります。

IOLを嚢外に入れる選択肢もあります。しかしこの場合は、偏心の危険を覚悟しなければなりません。

ということで、IOLをその場で入れるかどうかは、患者さんの状態で異なりますので、画一的な答えはありません。


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