CCC

今週は夏休み明けということもあり、月曜から金曜まで手術がびっしりの忙しい週になってしまいました。

白内障手術、硝子体手術、緑内障手術、レーシック手術、眼瞼手術と盛りだくさんです。

白内障手術で気をつけていることは数多いですが、中でも、CCC(円形前嚢切開)の位置と大きさには最大限の注意を払っています。水晶体の光学中心と同心の位置で、大きさはIOLの光学部(大体6mm径)よりやや小さい5mm径くらいにいたします。

そうすることにより、挿入された眼内レンズの光学部が全周に渡って少しだけ前嚢に覆われます。この利点は少なくとも四つあります。

まず、IOLが水晶体の中心に位置しますので、光学特性が最大限に発揮されます。これは特に多焦点レンズで重要です。

ついで、IOLの前後の位置を一定にできますので、度数の予測がより正確になります。IOLの位置が前後にずれると、近視あるいは遠視にずれることになります。

さらに、全周が前嚢で覆われていることにより、後発白内障の発生頻度が少なくなります。術直後から濁り出すことを予防できます。

最後に、IOLを後で別の度数あるいは種類に交換する必要に迫られた時、前嚢による被覆部分は容易に外れますが、前、後嚢が外で癒着していると、術直後以外では剥離することができなくなります。つまり、後にIOL交換手術が安全に行われるためにも、CCCの作り方が重要です。

他院で眼内レンズが挿入されているものの「合っていないのでは」と交換を希望されて来院される患者さんがおられますが、CCCの状態によってはお断りせざるを得ないことも多いのです。

CCCが大きすぎて前後嚢が癒着している場合がほとんどです。というのも、CCCが大きい方が超音波処理がしやすいので、よほど意識しないとそうなってしまう傾向にあるのです。

私は100%全周被覆を目標に手術を行っており、90%以上は達成していると思います。多焦点レンズでは特に注意して、100%になるように努力しています。

「これだったら、フェムトキャタラクトは要りませんね」とは見学に来られたメーカーの人談。もちろん、その為にわざとゆっくりCCCをしているのですから。

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