超音波手術装置

今日はいつもどおり白内障手術が行われました。23例のうち、2例でマルチレンズを挿入いたしました。

マルチ(多焦点IOL)はすっかり定着した感があります。患者さんのほうから希望されることも多くなりました。

白内障手術にとって最も大切な器械は、言うまでもなく、超音波装置です。硬くなった水晶体の核を砕き、吸い取る装置です。

20年以上前、導入された直後の器械は、今から考えると、とても効率の悪いものでした。一定の硬さ以上の核には歯が立ちませんでした。

幸いなことに、現在使用している装置では、核が硬すぎて手術不可能ということがほとんどありません。

とはいえ、器械ですから、いつまでも使い続けるというわけにはまいりません。特に、電気系統の不調がたびたび出るようになると、買い替えを迫られることになります。部品の供給が途絶えるからです。これは乗用車と同じです。

新しいモデルの車が出ると、メーカーはその長所を宣伝しますし、新しいデザインにも惹かれて、ついつい買い替えということになってしまいがちです。

しかし、何年もしてよくよく考えると、手放した車のほうがよかったと思うこともあります。

新しい器械には必ず付加価値が付いていますが、よく調べると、失われた機能もある場合があります。

たとえば、車の場合、モデルチェンジのたびに一回りずつ大きくなっています。そのせいで、立体駐車場に入れることができる車種がどんどん少なくなっています。これは、「駐車場に収まるかどうか」という観点からみると、間違いなく退歩に他なりません。

ということで、結果を求められるだけに、医療器械の買い替えは慎重にならざるを得ません。


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