コルトー、カツァリス再び

今日はお昼からの手術が内反症2件と、ゆったりの一日でした。たまにはこんな日もいいですね。

そこで、またまたCDの紹介をしてみたいと思います。

最近届いたものから、絶対に素晴らしいものを2点ご紹介いたします。2点ともHMVやタワーで購入可能です。

まず、アルフレッド・コルトーの晩年録音集です。前に1950年代の日本録音集について書きましたが、今日ご紹介するCDは、その本国版というべきもので、ショパンシューマンなど、日本で繰り返し発売されていた1930年代録音とは別の、晩年の演奏ばかりです。

日本では、以前、新星堂から発売されたことがありますが、すべて廃盤になっています。今回のものはフランスEMIで、オリジナルテープからの初CD化であり、録音がとても優秀です。

コルトーの演奏は人気が高いからか、いろいろなレーベルから発売されています。ほとんどが版権切れの古いものですから、SPやLPからの「盤おこし」が多いです(ナクソスなど)。しかし、やはり、もともとのオリジナルテープやアセテートディスクから作ったCDでないと、本当に良い音が望めません。ここでご紹介するのは、音質のよいものばかりを選んでいます。購入される際、間違わないようにお願いいたします。

演奏は言うも愚か、日本録音よりもよりすぐりを集めているからか、更に安定した名演ぞろいです。コルトーならではの解釈。コンクールを経てしかデビューできない現代の演奏家からは、決して得られません。

もうひとつは、シプリアン・カツァリスの「ピアノ・レアリティーズ」という一枚。

これは、ピアノとは別の楽器のために書かれた曲をピアノ向けにアレンジした作品を集めています。ほとんどが、カツァリスのために作られたようなもので、その点が珍しいです。加えて、他のピアニストでは真似できないような、超絶技巧が含まれているのが聴きものです。

たとえば、8曲目のタルガ作曲ペンソン編曲の「アルハンブラの思い出」。元来ギターのための作品で、ギターならば簡単な同一音の反復をピアノで再現するという離れ業を演じています。

これは一度聴いたら耳について離れないほどの素晴らしさです!

カツァリスはEMI、テルデック、ソニーに録音活動を行った後、2001年からは自分のレーベルを立ち上げています。自分のレーベルというと聞こえが良いですが、いわば自主録音ということで、カツァリス程の名演奏家でも、メジャーレーベルでの録音活動が維持できない現状は、クラシック音楽の衰退というか、再生音楽全体の斜陽ぶりを表しています。

みなさん御存じの小室哲哉さんの事件も同じような背景があったものと推察いたします。

気に行った音楽家のCDやDVDは是非、正規のルートで購入し、芸術家の活動を支えたいものです。


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