水晶体手術

水晶体手術はLens Surgeryの和訳です。最近、白内障手術(Cataract Surgery)に代わって海外の論文などでよく使われる単語です。というのも、白内障手術という言葉は「矯正視力低下をきたすほどに濁った水晶体を取り除く」という元来の意味があり、屈折異常(近視、乱視、遠視、老視)を矯正するという、眼内レンズが登場して以来付け加わった重要な意図が表現されていないからです。

 

水晶体手術に含まれるのは1)白内障手術、2)透明水晶体摘出(+IOL)手術、及び3)水晶体を摘出せず矯正レンズを挿入する手術(ICLやIPCL)です。屈折矯正はこれらすべての目的であり、水晶体が濁っておれば1)、透明ならば2)または3)になります。白内障手術ではなく水晶体手術と言った方が、現代の眼科臨床にはより相応しいと思います。

 

水晶体の調節力が失われた60代以降では1)または2)が適応になります。調節力が残っている40代前半まででは、3)が適応になります。ただ、多焦点IPCLは年齢の高い透明水晶体に挿入可能であり、話が複雑になってきました。

 

視力、屈折異常の程度、年齢、角膜厚、前房深度、職業、などなど色々な観点から判断して、その人に最も相応しい屈折矯正手術方法を選びます。

 

水晶体手術にLASIKが加われば、屈折矯正手術のほぼすべてが網羅されたことになります。ご存知の通り、LASIKは角膜の屈折を変化させて矯正する方法であり、水晶体の屈折を変化させる水晶体手術とは対照的です。

 

屈折矯正手術(Refractive Surgery)はLASIKなどの角膜屈折手術(Corneal Refractive Surgery)と白内障手術などの水晶体手術(Lens Surgery)に分かれることになります。

 

ST