早めの白内障手術を

毎日多くの白内障手術希望患者さんに来ていただいています。年齢は平均70代くらいですから、中には90越えの高齢者もいらっしゃいます。

もちろん、ご高齢であっても手術は安全に行なえますので心配ありませんが、せっかく手術をお受けいただけるのなら、もっと早くに来ていただいていたらと思うことも多いのです。

20〜30年前には、白内障手術を早期に行なうのは「カリフォルニア キャタラクト」と揶揄されたものでした。眼科医の競争の激しいカリフォルニアでは患者の奪い合いから、早期で水晶体が透明なうちからの手術がまかり通っていたからです。

しかし今や、術後の屈折誤差が減り、乱視矯正も行なえ、時に多焦点レンズによる老眼矯正も行なえる時代です。白内障手術はもはや単なる混濁除去ではなく、屈折矯正手術の一員になりました。当然、適応の考え方も変化しています。

屈折矯正手術の側からみると、レーシックに代表される角膜手術に水晶体を場とする白内障手術が加わってきたことになります。白内障手術では眼内レンズの進歩とともに、より高度な屈折矯正が可能となりつつあります。

今週行なわれたアメリカ眼科学会でも話題になったようですが、白内障になって矯正視力が低下する前に水晶体の機能不全があることに注目すべきです。具体的には屈折異常の増加、高次収差の増加になって現れます。

経年的には40代後半から老眼世代となり、次第に水晶体機能不全となり、平均70代で白内障になるというわけです。

白内障の有無にかかわらず、視機能の低下に対して白内障手術が適応になると考えれば、70代後半以降まで白内障手術を遅らせる必要はないことが判ります。

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