ICLとLASIK

最近、当院でも近視矯正手術の希望者はたくさんこられるのですが、中には、どうしてもLASIKの適応にならない方もおられます。角膜が薄すぎたり、乱視が強すぎたり、あるいは、近視の度数が強すぎたりといった患者さんです。これらは、絶対的不適応といえます。

また、抗精神病薬を複数、長期にわたって服用されていると、角膜内皮の機能が低下して、角膜浮腫を来していることがあります。最近経験した症例では、ソフトコンタクトレンズの装用を止めると、角膜の厚みが530μmから460くらいに低下したことがありました。ソフトコンタクトと抗精神病薬による、角膜浮腫と思われます。

このような症例では、角膜実質を削るLASIKで屈折精度の点で不利になりますので、お勧めできません。

LASIKの適応がない場合、高齢者では水晶体摘出(白内障手術)、若年者ではICLを考慮いたします。高度の近視でも、ICLや白内障手術では、完全矯正が可能で、術後の視機能も良好です。もちろん、白内障手術では、調節力の喪失がありますので、普通、若年者には行いません。

困るのはそれほど強くない近視であるにもかかわらず、乱視が強い、混合乱視のような状態です。ICLでは対応するレンズがなく、LASIKでも不得意な分野です。角膜厚があれば、LRI(輪部減張切開)も出来ますが、角膜が薄いとお手上げです。

結局は、まだまだコンタクトレンズにも出番があるということになります。


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