RK後の白内障手術では

RK(Refractive Keratotomy、放射状角膜切開)はLASIKが開発されるまで近視矯正手術の標準だった手術です。日本ではそれほど行われませんでしたが、30年前くらいは結構な症例数があったようで、中〜高年になって白内障手術が必要になって、当院を受診される患者さんを時々見かけます。今日は1日だけで2名来院されました。

 

「最近遠くも近くも見にくい」と言うのが主訴で、新しい屈折手術のLASIKやICLだったらなんとかなりませんか、とおっしゃる方が多いのです。しかし、当然これらでは対処できず、白内障手術の適応になってきます。

 

RKやLASIKを受けられている患者さんはもともと裸眼へのこだわりが強いですので、白内障手術の場合も多焦点IOLを希望されることが多いです。しかし、LASIK後であればそれも可能ですが、RKの場合はちょっと事情が異なります。

 

RKでは角膜の中央を残して周辺に放射状の切開を4〜16本行います。結果、周辺の角膜の弾性が低下し眼圧に負けて突出することにより、中央部が扁平化し、屈折力が低下して近視が治るのです。

 

加齢とともに角膜が柔らかくなると、RKの効果は増強されます。したがって、中年以降遠視が進むことが多く、屈折が安定しなくなるのです。こんな状態で多焦点IOLを入れるのは冒険になり、避けたほうが無難です。

 

今日来られた患者さんのうちお一人は、「朝と夕方で視力が違う」とおっしゃってました。朝はボケているけれども、夕方になると遠くが見えてくるとのことでした。これは、眼圧の日内変動により屈折が変化していることを示しています。

 

したがって、RK後の白内障手術では単焦点IOLを用いて、屈折の狙いを少し近視よりにするのが正解です。将来の遠視化を織り込んで手術を行います。

 

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