ラストアイ

前にも書きましたように今年の夏は祝日が多いので、手術日を設定できる日が少なくなり、すぐに予約が埋まる状況です。加えて高齢者のワクチンが行き渡ることにより、受診抑制はそれほどでもなくなり、逆に、「仕事が暇だから今のうちに」という患者さんも多いです。ということで、相変わらず忙しい毎日が続いています。

 

デルタ株による感染者の増加は止まる気配がありませんが、感染者に占める高齢者の割合は確実に減っておりますので、デルタ株に対してもワクチンは有効ということです。中〜若年にも早くワクチンが行き渡ることを願っています。

 

コロナによる受診抑制のせいで、両眼とも視力が低下した患者さんが多いです。片目が視力低下してももう一方の目で生活できるからと放置していたものの、健眼(ラストアイ、the last eye)も視力低下してきたのでどうしようもなくなったということです。

 

先日はラストアイが網膜剥離になって来院された患者さんがおられました。網膜剥離の術後、一時的な視力低下を来すことなく治療する必要があり、バックリング手術を選択しました。硝子体手術ではガスタンポナーデの1〜2週間、視力が回復しない期間があります。

 

ラストアイの手術は術者にとっても大きいストレスがあります。手術に失敗が許されないことはもちろん、術後の視力の立ち上がりにまで神経を使わなければならないからです。

 

白内障で両眼とも視力低下している場合、水晶体はカチカチに濁っていることが多いので、手術は当然難しくなります。最近はそんな症例が多いです。それでもなんとかなるのは、効率が良くなった超音波手術装置のおかげです。

 

毎日が緊張の連続ですが、患者さんの熱意に支えられて何とか手術をこなすことができています。患者さんの笑顔が何よりの栄養剤です。

 

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