レクトミー

今日はレクトミー(濾過手術)の手術申し込みが相次ぎました。レクトミーは緑内障手術の切り札で、術前の値に関係なく眼圧を15mmHg以下に下げることができる優れものです。適応は1)血管新生緑内障など30mmHg以上の高い眼圧が続く場合と、2)視野が進行する中期以降のPOAGです。

 

レクトミーでは房水を強膜の穴から結膜下へ逃がすことにより眼圧を下げます。その量が多すぎると眼圧が下がりすぎてしまい、視力を維持することができません。また、結膜下へ逃がした房水が外に出てしまうと、眼の内と外に交通ができることになり、感染の原因となります。

 

そのため、房水を結膜下に貯留させ、眼外には出ないように工夫します。結果、手術の部位に結膜のコブができます。これをbleb(ブレブ)と言います。レクトミーを成功させるコツはブレブをしっかり作ることと、それを長期間持続させることです。

 

ブレブを上手に作るにはまたいろんなノウハウがあります。手術中のみならず、術後管理でも注意が必要です。強膜弁の縫合は基本2糸で、前房形成、適度の漏出、眼圧10mmHg以下の条件を満たさなければなりません。結膜縫合も2〜3糸で断端の位置がきっちり輪部に来るように注意します。

 

術後2〜3日で角結膜輪部の癒着が完成したら、圧迫してブレブをしっかり作ります。患者さん自身にマッサージ(眼球圧迫)をしていただくこともあります。

 

術翌日、3日後、および1週間後での来院が必要になりますので、白内障の術後よりは来院日数が多くなります。また、ブレブの状態によっては、レーザーによる抜糸、手術室での縫合などが追加で必要なときもあります。

 

うまく行くと、点眼フリーで眼圧を15mmHg以下にコントロールでき、視野進行の阻止が可能となります。70歳以上の高齢で、視野が中期以上に進行している患者さんでは、レクトミーを積極的に行うのが良いと考えています。

 

ST