3〜連続焦点

多焦点IOLが選定療養になって久しいです。選定療養では医療費のうち多焦点IOLの代金のみが自費となり、その他は健康保険が適用されて負担金が軽減されます。

 

選定療養では日本で正式に認可されたIOLでないと使えません。しかし幸い、最新の光学特性を持ち、世界的に高く評価されているIOLが多数認可されています。

 

多焦点IOLの種類は色々で、大きく分けて1)焦点深度拡張型のシンフォニー(J&J社)、2)2焦点のテクニスマルチ(J&J社)、3)3焦点以上(連続焦点)に分類されます。それぞれ光学特性が異なります。

 

3)のうち最初に3焦点を謳って登場したパンオプティックス(アルコン社)は、最近素材が進歩してパンオプティクス クラレオン(POX)になりました。これにより、若干の視機能の向上が見られるようです。

 

また、最初に連続焦点を謳って登場したシナジー(J&J社)はテクニスマルチの改良型で、2焦点を拡げて連続焦点にしたとのことです。実質的には4焦点ということになり、実際に患者さんの焦点深度(ピントの合う範囲)を調べても、ほぼ遠方から近くまで連続的にピントが合って良い視力が出ています。

 

POXとシナジーはどちらもトーリック(乱視矯正レンズ)があり、当院では同じ価格に設定していますので、どちらを選ぶか迷われる患者さんも多いです。

 

使用経験のある眼科医の一般的な見解として、遠くはPOX、近くはシナジーが有利で、夜間の光のにじみ(ハロ)はPOXが有利とされています。ということで、もともと正視〜遠視の方にはPOX、近視の方にはシナジーという選択が一般的のようです。

 

POXは光学部のうち外1/3が遠用となっています。前モデルのリストアから続く遠く重視の設計です。この性能を生かすためには、CCCを比較的大きくとって前嚢の覆いを最小にしなければなりません。これはマニュアルCCCでは難しい課題ですが、挑戦する価値ありです。

 

裸眼で遠くが見たいゴルファーで夜間運転して帰宅する方にはPOXをお勧めしています。

 

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