多焦点IOLの動向

多焦点IOLが日本に導入されてもう10年以上になります。その間、提供されるレンズも少しずつ内容が変わってまいりました。

始めの頃の屈折型ReZoom、回折型リストア4.0、シリコン素材のテクニスマルチは無くなり、今では回折型でも加入度数の少ないタイプ(テクニスマルチZLB、ZKB、リストアActiveFocusなど)や深度拡張型EDOFレンズ(=究極の低加入度数)がよく使われるようになりました。

加入度数の大きいタイプは近くがよく見えるものの、光学特性の低下や、ハロ、グレアが過大といった副作用があることが嫌われた結果です。

EDOFレンズのシンフォニーは、単焦点レンズに遜色ないクリアーな見え方ですが、ハロ、グレアは多少あります。

EDOFレンズのミニウェルはハロ、グレアはより少ないものの、日本の先進医療保険が使えません。

EUで人気の三重焦点レンズも日本の医療保険では使えません。完全自費になり、値段が高いのみならず、バックアップ体制が不十分です。

これらのレンズが日本やアメリカで導入されていないのは、新しい素材のため、一から薬事申請が必要になり、予算がかかり過ぎるからと思われます。

当分の間、日本やアメリカではシンフォニーとActiveFocusのトーリックが主流になりそうです。

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