ここ数年、緑内障手術で術式の改良が進んでいます。トラベクレクトミーのインプラント、エクスプレスやアーメドは保険収載されていますし、トラベクロトミーの分野でも進歩が見られています。
レクトミーは眼内液を結膜下へ出して眼圧を下げる術式。ロトミーは房水が眼内から出て行く柵となっているトラベクルムの組織を破壊して、流出抵抗をさげ、眼圧を下げる術式です。
トラベクロトミーは従来、結膜を開け、強膜側からアプローチする方法が一般的でした。また、トラベクルムは金属または糸で切開するのが普通でした。
その効果は比較的短く、半年〜1年で眼圧下降効果が無くなってしまうのが大きな欠点でした。その理由として、単なる切開では容易に修復し、元に戻るのではとの疑問があります。
最近、トラベクルムの組織(メッシュワーク)を「切除」する方法が開発され、注目されています。隅角鏡を用いて、前房側からアプローチします。
幅1mmに満たないメッシュワークをひとかたまりに切除する特殊な使い捨てメスが開発されました(カフーク)。
最近出た論文では、術後半年までは少なくとも眼圧下降効果が持続することがわかっています。理屈で考えても、トラベクロトームや糸にによる切開創よりも確実に破壊することが出来ますので、効果も持続する可能性が高いです (JCRS 2017;43:1197-1201)。
加えて、傷の大きさも小さく、経過観察が容易ですから、従来のトラベクロトミー (ab externo) と取って代わる可能性があります。
また、トラベクルムに直接刺すインプラントもあります(iStent)。
これらの新しいトラベクロトミー (ab interno) はゴニオレンズを用いて隅角からアプローチするのが特徴で、MIGS (Minimally Invasive Glaucoma Surgery) とも言われます。
前房からのアプローチですので、水晶体を傷つける恐れがありますので、白内障手術と同時に行うのが一般的です。
今、最も熱い眼科手術分野の一つです。
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