フェムトレーザー白内障手術

最近、フェムトセカンドレーザーを用いた白内障手術を取り入れる施設をぼちぼち見かけるようになり、当院の患者さんからも質問を受けることがありました。

これは、レーシックのフラップを作るのと同じフェムトレーザーで、白内障手術の際の前嚢切開(CCC)、核分割、角膜切開、乱視矯正切開を行なうものです。すべて人間の手で行なえるものですが、レーザーにより更に正確に行なえるので、手術の結果もさぞ良くなるのでは?との期待感があり、5年程前からヨーロッパを中心に普及してきたのです。

器械にはとてもコストがかかりますが、人間の手では叶えられない結果が得られるのであれば、導入にためらいはありません。

しかし、小生にとっては予想通りでしたが、レーザーは手(マニュアル)と比較して、手術の結果に全く差がないどころか、レーザーでは対処できない症例をマニュアルで行なったことから、ひいき目に見ても同等、実は劣っているとの衝撃的事実が判明したのです(Ophthalmology. 2016 Jan;123(1):178-82. A Comparative Cohort Study of Visual Outcomes in Femtosecond Laser-Assisted versus Phacoemulsification Cataract Surgery.)。

詳細はPubmedを検索していただければ判ります。

真っ白に白濁した白内障ではレーザーで不完全なCCCしか出来ない場合があること(J Cataract Refract Surg. 2014 Jan;40(1):44-50)、レーザーではより大きな炎症が見られること(Br J Ophthalmol. 2016 Apr;100(4):579-82.)などから、容易に想像される結果です。

時間とコストがよけいにかかる上にこの結果では、食指が動かないのも当然です。

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