医療費をどうして減らすか

今日と明日で予定手術は終わりです。12月は3週しかなかったため、今週は「余り」の週ということで、片眼の患者さんや両眼連日の患者さんが多くなり、必然的に多焦点が多くなりました。今日は19例のうちICL2眼、テクニスマルチ6眼でしたので、予定時間を大きくオーバーしてしまいました。

何故余りの週に多焦点が多くなるかといいますと、保険医療で短期滞在手術をすると、片眼のあともう一眼は1週間後でないと算定出来ませんので、単焦点の両眼手術は必ず2週を要するのですが、多焦点はどっちみち短期滞在手術ではありませんので(自費診療で算定できない)、両眼連日あるいは同日でOKだからです。医学的にはまったく納得出来ませんが、保険診療にはこのような医学とは縁のない規制がいっぱいありますので、しかたありません。

たとえば、月ごとに最高限度額が決まっているのもその一つです。月初めの1日から31日までの間であれば、かかった医療費を総合計して、最高限度額がありますので、月またぎよりも自己負担金が少なくなります。白内障手術では、同じ月に両眼をするほうがお得ということになります。しかし、収入によってはそうならない場合もあり、複雑を極めます。

最近よく話題になっている高額の医療費も、一ヶ月以内であればたとえ、100万を越えるような費用でも最高限度額があるため自己負担0円から数万円で済んでしまうことがほとんどで、1〜3割負担とはいえ高額の場合の自己負担割合はとても少なく、海外に比べ恵まれています。日本では、医療費により自己破産することは考えられませんが、アメリカでは普通のことです。しかし、日本では個人が破産しないからと調子に乗っていると、そのうち国が破産するかもしれません。

限りある福祉予算ですから、上手に使って行く必要があります。なるべく費用をかけない方法として、日帰り手術の推進、不要な投薬を減らす、ジェネリックを使う、再診や検査を減らすなどあります。

同じ効果ならば費用のなるべくかからない方法を探すのも医療担当者として考えてゆかねばなりません。

われわれの分野では、抗VEGF薬の投薬回数を減らすための閾値下レーザーや、緑内障点眼を減らすための積極的な手術などが考えられます。長期間効果が持続する徐放性のステロイド薬も開発中ですし、硝子体手術のかわりにレーザーで硝子体融解をすることも報告されています。

DMなど、抗VEGF薬のおかげで手術やレーザーが減ったのは良いのですが、薬の価格が高すぎますので、医療費の節約にはならないのが痛いところです。

ST