眼内炎対策

白内障手術を行っていて、最も恐ろしいのは術中、術後の細菌感染です。原因となる菌の種類によっても異なりますが、最悪の場合、失明の危険性もある手術合併症のひとつです。

最悪の合併症として、駆逐性出血と並ぶものですが、こちらは極小切開手術の普及により頻度が減っていますので、眼内炎の恐ろしさが際立っています。

当院でも眼内炎が全くないという訳ではありません。頻度は報告によって異なりますが、1000~5000例に一例くらいとなっており、毎年2000例近く行っている当院では、やはり、極稀にではありますが、発生いたします。

発生したら、ただちに学会のマニュアル通り抗生剤の投与、前房洗浄、硝子体手術を行い、治療いたします。

適切な対応があれば、幸いなことに、大事に至ることがないことが多いのですが、最後まで気の抜けない、つらい日々が続きます。

最近の傾向として、術中ではなく、術直後に創口から弱毒菌が入ったのでは、と疑わせる症例が多く、また、抗がん剤ステロイドの投与中であったり、腎不全など、全身状態悪化を伴っていることも多いです。

全身状態不良例では、特に、創口の状態に注意し、手術終了時に完全な創の閉鎖を確認しなければなりません。角膜切開では、手術時間が長くなったり、核が硬い症例で創口の熱変性をおこすことがあり、注意が必要です。

不安が残る場合は、10-0ナイロンで1糸縫合します。

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