弧状ブレード

昨日の続きですが、感染症を予防するためには、白内障手術終了時の創の閉鎖状態が大切です。

最近、海外では、LASIKにも用いるフェムトセカンドレーザーにより、角膜切開創を作り、閉鎖を完全にするという方法が開発されつつあります。内側で切開に縦方向の段を作り、より確実な閉鎖を目指します。

しかし、フェムトレーザーを用いることにより、コストが数万〜十数万円アップいたします。海外では、保険が自由ですので、一部の保険会社がこれをサポートしていたり、また、保険以外の別途支払いをしていただくことで、このような新しくコストのかかる方法も導入が容易いのですが、日本では、そんな訳には行きません。

新しい方法で別途費用を請求すると、「混合診療」ということで、違反になるのです。

フェムトには及ばないとしても、切開方法を工夫することにより、より簡単に、かつ低コストで創の構築を見直すことができます。我が国の保険財政にもやさしい、そんな方法の一つが、「弧状ブレード」です。

通常のメスとは違って、上に凸の弧状になったケラトームのことです。名古屋の市川一夫先生ご考案で、3mm以上の比較的広い創でも確実に閉鎖するということで、いっときはやったことがありました。

当院では、ICLを導入する際、久しぶりに使ってみたところ、感触がよかったので、もっと切開幅の小さい白内障手術でも使ってみることにしました。

そうしますと、2.2mmや2.5mm幅でもより確実に閉鎖されることが確認されました。

弧状ブレードでは角膜内皮側の切開創が円形になり、水圧によりより確実に閉鎖されるように工夫されています。

少しでも安全な手術を目指すということで、早速に採用することといたしました。

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