老眼とは

今週は、老眼に関する質問を患者さんから受けました。
まず、老眼とはなんでしょうか?
簡単に言えば、「目のピントを合わせる能力がなくなった状態」です。
若い頃の目は、水晶体(目玉の中のレンズ)がやわらかく、伸び縮みして遠くにも近くにもピントを合わせられます。
年齢を重ねると、水晶体は弾力性がなくなり、伸び縮みできなくなってピントを合わせる力が落ちてしまうので、老眼になるというわけです。(Helmholtzの理論)
治療方法として、この水晶体の弾力性を取り戻すことができれば理想的ですが、残念ながらまだこのような治療法は確立されていません。
というわけで、現在できる治療は、水晶体以外の手段でなんとかしてピントを近くに合わせられるようにすることです。
具体的には、1)近くにピントを合わせる、2)ピントの合う範囲を広げる(焦点深度を深くする)、3)遠くと近くにピントを分ける、という3通りがあります。
1)はレーシックやCK(conductive keratoplasty)などにより近くにピントを合わせる方法で、代わりに遠くは見づらくなります。
2)は角膜に絞りの様なもの(corneal inlay)を挿入する方法です。目に入る光量が制限されるため、暗い場所では見え方が落ちます。
3)はバイフォーカルのコンタクトレンズや、多焦点眼内レンズです。光が遠くと近くに分配されるため、やはり暗い場所では見え方が落ちます。
多焦点眼内レンズは、水晶体を取ってから挿入しますので、白内障で水晶体がにごった患者さんにはこの中で最も良い方法です。

 写真:多焦点眼内レンズ
ちなみに、老眼はしばしば遠視と混同されますが、まったく別物です(詳しくは眼科医会のホームページもご覧下さい)
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