白内障手術による屈折矯正

前回、前々回の記事で見たように、白内障手術は単なる混濁の除去(+IOL挿入)のみならず、狭隅角や屈折異常の治療を兼ねることがあります。また、多焦点IOLを用いることにより、老眼の治療を兼ねるのはすでにご存知のことでしょう。白内障手術にはいろいろな目的があるのです。

 

屈折矯正の方法としてメガネやコンタクトに比べて角膜形成(レーシック)や眼内レンズ(白内障手術)が優れているのは、装着が不要との簡便さのみならず、矯正効果が永続的ということです。これにより、1)両眼の度数差がある不同視や、2)不同視に伴う斜視、眼精疲労、などが治療できる可能性があります。

 

また、角膜や水晶体という生理的な(本来の)レンズそのもので矯正するということは、矯正効果においてもメガネより理論的に優れています。矯正具はレンズの位置から離れれば離れるほど効果が劣るからです。

 

メガネでは矯正できない高度の近視や乱視でも、レーシックや眼内レンズなら矯正可能なことがあります。

 

白内障と診断され、白内障手術を受けることになったら、そのチャンスを逃さず、ご自分にとって最もふさわしい屈折を目指すべきと思います。ピントの合う位置は各人各様の生活様式に合わせ、30cm〜2mで選択します。コンタクトではなくメガネで生活できるようにしましょう。単焦点レンズでも屈折を慎重に選べば、術後にほとんど裸眼で生活できるようになります。

 

PC、読書、楽譜、TV、散歩、釣り、運転、ゴルフのすべてを裸眼でという高度な要求にも、多焦点レンズならば応えることができます。

 

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