中年以降の屈折矯正手術

当院では屈折矯正手術レーシックを行なっているせいか、「コンタクトが嫌でメガネはもっと嫌」という患者さんが大勢いらっしゃいます。「嫌」という表現では単なるわがままのように聞こえますが、決してそうではありません。

度の強い近視はメガネの矯正効果が悪いのでコンタクトに頼ってしまいがちですが、年齢とともに、あるいはもともとドライアイが強くてコンタクトが出来なくなってくるのです。無理してコンタクトを続けると眼に障害が出ます。

屈折矯正手術は美容手術と勘違いしている方もおられるようですが、間違いです。眼の障害を治療する、あるいは予防するれっきとした医療行為です。

コンタクトレンズで悩まされていたドライアイ、眼障害がレーシック手術で改善されるのは、最近出た学術論文でも証明されています(Ophthalmology誌)。

コンタクトに無理が出てくるのは大体中年以降です。老眼が始まってくる頃と重なります。年齢では40代後半〜60くらいです。このあたりの世代で、「コンタクトをはずしたい」との必要性に迫られた場合、取るべき手段は3つあります(今のところ当院では)。

1)近視矯正レーシック、2)有水晶体眼内レンズICL 、3)多焦点眼内レンズ です。厳密には2)の適応年齢は45才以下ですので、1)と3)になります。

レーシックでは矯正範囲が角膜厚に左右され、強い近視を矯正出来ません。大体−6D(ディオプター)くらいまでが適応で、もともとコンタクトに頼っていたような強い近視では適応外のことも多いのです。また、レーシックで近視を治せたとしても老眼は残りますので、今度は近く用のメガネが必要になってきます。

ということで、中年以降の屈折矯正手術として注目が白内障手術を応用した多焦点眼内レンズ挿入手術です。

たとえば、当院における今年度の統計を仮に見てみると、屈折矯正手術の数では多焦点眼内レンズがレーシックと肩を並べます。

中年以降の屈折矯正手術については、選択肢についてよく説明を受けた上で、慎重に選んでほしいを思います。

ST